一時休戦・・・税務調査について思うこと
税務調査の立会いのご依頼を受け、現在も進行中ですが、税務署が確定申告の時期に入ったため、一時休戦となりました。
しばらくゴタゴタはないといっても、お客様の心労は依然として続きます。
「こちらとしては、これからの戦略を練りましょう。」と少しでも不安を和らげるように努めています。その打ち合わせの中で、対応策のヒントや取っ掛かりが見つかったりするので、この休戦期間をただ何もせずに過ごすのではなく、有効に使いたいものです。
さて、私が税務調査対応のときにいつも考えていること。それは次のとおりです。
1.調査官の持っているカード(客観的な証拠資料)をできるだけ把握すること
2.調査官の見立て(課税する論拠)を推測すること
おそらく、これらの点は不可分一体かと思いますが、確度のある想定ができないと、こちらも戦略を練ることができません(でも「真実発見」が第一です)。
相続税は、事業などの経済活動と違って、被相続人や相続人のすべての行為等に証拠資料が伴っているわけではありません。そのため、税務調査における事実認定では、相続人等の記憶によることが多いのです。つまり、そういった記憶に基づく「供述」が矛盾のないものかどうか、あらゆる質問をぶつけて一定の事実を浮かび上がらせていきます。この点に調査官の力量が問われ、いわゆるヘタクソな調査では、単発の問答で終了して、二の矢、三の矢の質問が来ることはありません。
私は、お客様と事前の打ち合わせで質問応答のロールプレイをしますが、甘く見ておられた方に、その厳しさによく驚かれます。
世間では、税務調査で「何を聞かれる」のか知れ渡っていますが、その先の「何のために聞かれる」といったことまで想定していないように思えます(想定できないのかな?)。
また、税務調査は「人」対「人」のやり取りです。攻める方も守る方も、すべての「知識」と「人格」がぶつかり合います。「この場合はこうすればいい」という定石はなく、関与した税理士の能力に結果が左右されることになるのです。