国際資産税専門税理士の考えごと

資産税(相続税・贈与税・譲渡所得など)の解説

お客様にとって、最も得になるアドバイス(自力での確定申告)

さぁ、確定申告が始まりました!

確定申告会場に足を運び、ご自身で申告される方は、前半の空いているうちになさってください。

私が現職に在籍していたときを思い返すと、空いているときに来られる納税者の方々には、やはり時間的にも余裕がありますので手厚くアドバイスできましたね。特に、持分が複雑な不動産譲渡、事業用資産の買換えなどの特例が絡む申告では、1時間以上付きっきりで対応できました。

でも、これがラスト1週間といった繁忙期に来られると、十分な対応ができなくなります。もっとも、個別性の高い資産税の申告を、あの空間で済ませようというのが厳しいですね。

税理士となって思うことは、あの申告会場の空間での業務を机上でしっかり検討できるというのは、とてつもない安心感があるということです。こと不動産譲渡といった申告は金額が大きく、細かい特例を検討するときが多々ありますが、落ち着いて、税法の条文を確認しながら(ときにアールグレイを飲んで:すみません・・・)、満点答案の申告書を作ることができます。

だからといって、すべての申告を税理士に依頼すればいいかというと、そうではないと思います。

私のお客様で、税務調査の立会いをきっかけに、所得税申告のご依頼をいただいた方がおられますが、その内容が決して難しいものではないことが分かりました。

そこで私はいろいろ考えましたが、お客様に国税庁HPを使った確定申告書の作成方法を、多少時間をかけてもお伝えするという選択をしました。一度覚えたら、ご自宅でゆっくりできますし、所得税の計算の流れが分かること、何よりも、今後毎年支払う税理士報酬が必要なくなるというメリットがあります。偶発的な難しい内容があったり、毎年の申告と状況が異なるときのみ、私に聞いていただければ解決できます。

そのお客様は、大変興味を持っていただいて、ちょっとしたパソコン教室状態となりました。「来年するときに忘れてしまうかも・・・」とおっしゃっていましたが、「そのときはいつでも聞いてくださいね。」とお伝えしたら、安心してチャレンジできるとのことでした。

私はかつて、短期間ではありましたが、「売上至上主義」の環境に身を置いて痛感しました。「士業たる者は、総合的に思慮を重ね、その良心に従い、お客様に最良のアドバイスをする」のが、その矜持ではないでしょうか。