国際資産税専門税理士の考えごと

資産税(相続税・贈与税・譲渡所得など)の解説

外国の弁護士(会計士)さんのお話

国際相続などの税務に従事していますと、外国の弁護士・会計士さんとやり取りする場面が多くあります。

でも、そのみなさんが、現地国(自国)の税務を完璧に理解しているかというと、必ずしもそうではないようです。

例えば、海外の不動産の所有権を移転する(名義を変更する)際、現地国で課税が発生することに気づかない場合があって、当事者の間で話がまとまっていたのに、手続きの最中で「実はこっちの国で、〇〇税がかかってしまうんだ」としれっと言われることがあります。こちらは、日本の課税に関するリスクなど、きちんと精査の上でクリアーしてたのに・・・どうするよ?って感じです。

それを聞いて、私も現地国の法令をリサーチしてみましたところ、現地国内の居住者同士の取引では課税上の問題はないけれど、非居住者が関わる場合は課税される取扱いになっていました。

その弁護士(会計士の資格もあり)さんは、他の会計士さんに聞いて判明したとのことで、そのことを知らなかったようです。

放っておいても、私のお客様には実害はないのですが、やはり先方がお知り合いということもあって、見過ごすわけにはいかないということで、追加で発生した現地国の課税をきちんと解決する方向で、手続きを進めることになりました。

「コラっ!〇〇(⇐現地の弁護士さんの名前)!」と、お客様と笑ってお話をしましたが、考えてみると、日本でも、非居住者の課税関係をすべての税理士さんが理解しているわけではありませんので、「外国でも、そういうものなのかな」と思ってしまいました。

ただ、私自身も反省する部分があります。「課税リスクを読むボーダーラインを広げる」という点です。日本の課税リスクを読むことは職責として当然ですが、外国ではどんな課税が生じるのか併せて読み切らないと、お客様に不意打ちとなることに変わりはありません。今回のケースでは、私から「非居住者が取引に関わるが、そちらの国の課税関係は大丈夫?」と先回りして現地の弁護士さんに問いかけをするのが模範解答だったのかな、と思います。そういった積み重ねが、専門性のレベルを上げることに繋がるのではないでしょうか。

ともかく勉強になりました。ある意味、〇〇(⇐現地の弁護士さん)に感謝です。